「納品をなくせばうまくいく」を読みました
※旧ブログからの転載記事です。
購入のきっかけ
IT業界の課題、開発トレンドやエンジニアの働き方に対する問題意識から「納品のない受託開発」というビジネスモデルを提唱された倉貫さんの著書です。
受託開発専業のSIerから転身して、ここ2年ほど、Webサービス/モバイルアプリをコア事業とするチームで勤務しております。
倉貫氏は受託開発、私は自社サービス開発と、ややドメインは異なりますが、「開発、リリースして終わりではなく、リリース後も改善が必要となる」という意味では、参考にできる部分も多いのではないかと思い、購入しました。
メモ
覚えておきたい部分をいくつかメモしておきたいと思います。
・扱う技術を統一化する
例えば、WebアプリケーションのフレームワークはRails、サーバはAWS上に構築する、と決定してしまいます。こうする事で、ノウハウの共有や社内での助け合いも容易になりそうです。
個々のエンジニアにとって考えてみると、「学習コストを下げる事により、より深いレベルに、より早く到達できる」為、メリットの大きい方法ではないでしょうか。なお、この視点は航空業界のLCCを参考にしたものだそうです。
・幅広いスキルを備えたエンジニアが要件定義から開発・運用まで兼務する
ソニックガーデンのエンジニアは顧客との対話、設計、プログラミング、サーバ運用まで全てをこなします。これにより伝言ゲームをなくし、無駄を最小限にします。オフショアやコストメリットの大きい新興国のエンジニアに対抗するヒントになる考え方だと思います。
今後、エンジニアとして生き残るには、ワンストップで要件定義から運用までこなせる、1人でやる事でコミュニケーションコストを最小化できる事がポイントになりそうです。
・自動化と合理化
機械に出来る事は機械にさせましょう、という基本を徹底されているようです。弊社でもまだまだ人力に頼る部分が多くあり、これからも業務改善を進めて行こうと気持ちを新たにしました。
ただ、「自動化による開発/運用工数の削減」というのはその効果が見えにくい場合もあり、どうしても「機能追加、新規プロダクトの開発」が優先されやすい傾向にあります。「業務改善のための工数」をどうやって確保するか、これは現在の僕にとっては非常に難しい問題です。このあたりは近道はなく、対話を繰り返す事、個々の取り組みによるビジネスインパクトを可視化していく事が重要だと考えています。
・「属人性の排除」より、「人を大事にする」
個人的に最も感銘を受けたのが、この部分です。1人のエンジニアが担当する領域が増えるほど、実は1人のエンジニアに対する依存度は高くなります。この点に関しては、細かいノウハウはあるにしても、マネジメントや技術的な対策よりも、長く一緒に働ける関係性を維持する方が健全だと述べられています。
エンジニアの退職リスクに対する対応って、小手先の方法論で語られる事が多くて、「そもそも人が簡単に辞めないようにしよう」という方向性で語られる事って少なかったように思います。こういう姿勢は大事ですね。。。
感想
このビジネスモデルを提唱するに至った背景が、ご自身の言葉で丁寧に描かれています。
倉貫さん自身がエンジニアでもあり、共感できる部分が多くありました。